■吟醸酒のところてん
吟醸酒のところてん6年ほど前に、神戸市魚崎にある酒造メーカー、浜福鶴銘醸から「弊社の酒を使った商品を造ってもらえませんか」という依頼を受けて考えだしたのがこの「吟醸酒のところてん」です。
純米酒「浜福鶴」というのは、酒嫌いの人でも「いい香り」と言わせるほどに芳醇な、甘い香りのする酒でした。これならいい商品が出来ると想い、早速試作に取り掛かったものの、事の他障害も多い商品でした。果汁を入れると、ところてんは固まりません。
熱を加えると、酒の香りはとんでしまいます。
思考錯誤を繰り返して、やっと問題を解決してから今度は味を決めていきます。この味にも20回ぐらい神戸を往復してやっと決めてもらえたというぐらい忍耐のいる仕事になりました。自社のブランドで出すからにはと、浜福鶴の当時の主任倉田さんも、それは熱心に付き合ってくださいました。
そしていよいよ商品として発送する段になると、今度は試作と大量に造るのとでは、味から食感まで大きく違ってくるという事に初めて気付かされるという有様で、柔らかすぎるだの何だのと、クレームも幾つかいただきました。でもお蔭様で、一番安定した良い商品、甘過ぎず、硬さもちょうど良く、日が経つにつれてより美味しくなって、玄人受けする、人気がなさそうで根強い人気の良さを誇る商品が生まれました。新商品は皆の熱意があって初めて成功するものだと実感したものです。
ちなみに中に入っている金箔は、金沢の戸出惣次郎商店のものです。